ガチガチのスポーツではなく、日常の移動手段でもなく、休日の街並みや公園の散策に自転車を使っています。
4月でまる9年、10年目を迎えたクロスバイク。妻と共用で使っていましたが、この春自分専用の一台を手に入れ、二人で出かけられるようになりました。
それまで二人で出かけるときは徒歩圏内か車移動でしたが、自転車で出かけるようになり、今までと違った距離感で、歩くには遠いけど車で行くには渋滞で躊躇していた範囲の施設や食べ物屋などに気軽に行けるようになり、行動範囲が広がりました。
ところで自転車って靴と似ていると思います。
靴を履かない人はいないと思いますが、興味もなく靴磨きをすることもなく履きつぶす人が大多数と感じます。それと同じく、自転車を生活の必需品として使っている方のほとんどが自転車自体には興味がなく、たまに空気を入れる程度で、時間が経ち錆が発生しタイヤがパンクするころに乗り潰す方が多いのではと感じます。
そう思ったのは、10年目を迎えたクロスバイクの前後タイヤ交換を以前自転車店に依頼したとき、店主さんから「修理代で新しい自転車が買えますが、どうしますか?」と言われた一言です。
その時は前後のタイヤとチューブにチェーンの交換が必要とのことで費用が2万円程度必要、クロスバイクではありませんがシティーサイクル(いわゆるママチャリ)なら1万円台から選べると言われました。
たしかに移動手段としてならシティーサイクルで充分ですが、実用車ではなく少し特別感が味わえるクロスバイクを乗り続けたかったので修理を依頼しました。でも一般的には新しい自転車が買える値段でわざわざ古い自転車を直してまで乗る選択肢は少数派なんだと思いました。
同様に、すり減ったヒールやソールを交換してまで履き続ける選択をする人も少数派なところに、靴と自転車の共通点があると思います。
グッドイヤーウェルテッド製法の靴が修理をすることで長く履けるのと同じように、自転車もフレームが壊れない限り、修理をすることで乗り続けることができます。
ただし、その修理費用が高いと感じるかどうかはその人次第で、靴も自転車も修理するよりも新しいものに替える方がお得と感じることが多いのだと思います。
靴を履き潰し、自転車を乗り潰してしまうことになってしまうのは、お手入れやメンテナンスをしない、できないことも理由になっていると思います。
雨の日の翌日によく見かける黒の白い塩浮が浮いた黒靴をそのまま履いているサラリーマンや、駐輪場でよく見かけるチェーンやクロム仕上げのスタンドなどの赤錆が目立つ自転車。靴も自転車も地面に接しているので汚れやすいので、手入れやメンテナンスを全くしないと、新しい時の輝きが徐々に失われて、自転車なら錆が浮いた見窄らしい見た目に変わってしまいます。
少しの手間とコツがわかれば靴も自転車も綺麗な状態を保つことができるのですが、興味がないからしないのか、やり方がわからないから汚くなる、汚くなるから使い捨てるのか。どちらにしても靴も自転車もお手入れやメンテナンスをしている人は少数派と感じます。
靴も自転車も格安で売られているものが多いことも使い捨てになる理由とも思います。
ドンキに行けば数千円で黒い合革の靴が買えますし、自転車も1万円程度で買うことが出来ます。毎日同じ靴を履いて3ヶ月ぐらいで履き潰すと年間1万円程度、自転車もノーメンテで毎日乗っても一年もてばやはり年間1万円程度と安い靴と自転車は年間にかかるコストも同じです。
ただし靴も自転車も使い捨てできる価格帯のものと、ある程度の値段がする物は、見た目や履き心地、乗り心地に違いがあると感じます。
また、靴も自転車もサイズ選びをいい加減に選んでしまうことも多いと思います。
10年目のクロスバイクは妻のサイズに合わせて選んだものを、共有で乗っていたため、私の身長では小さいサイズのものサドルを高く調整して乗っていました。上半身に窮屈さを感じながら乗っていたので、ある程度の距離を乗ると疲労感を感じる事があり、あまり積極的に乗ることも少なくなっていました。
靴は足が入らないほど小さなサイズでは履くことが出来ませんが、少しきつい靴やあきらかに大きすぎるサイズで履いている方が多いと感じます。私も少しきついサイズ感の靴を何足か選んでしまったことが過去にあり、魚の目やたこをつくってしまい辛い思いをした経験があります。
足に合ったサイズの靴を履いたときの、どこまでも歩けるような快適さと、サイズの合った自転車に乗った時やはりどこまでも走れるような快適さが、とても似ていると思います。
私はそんな靴と自転車に少しこだわりを持って選びたいと思っており、またそんな靴と自転車がある暮らしがとても楽しいと感じています。
さらに、靴も自転車も定期的にメンテナンスをすることで、長く快適に使用することができます。
靴は定期的に磨き、クリームを塗ることで、汚れや傷を防ぎ、長持ちさせることができます。自転車は定期的にチェーンオイルを注したり、空気圧を調整したりすることで、スムーズに走行ができます。
靴と自転車は、私の生活を豊かにしてくれる大切な存在です。少しのこだわりとメンテナンスで、長く快適に使用することができると思います。